北海道でサトイモ作りに挑戦
こんにちは、ハウス工藤園芸代表、工藤泰造(たいぞう)です。今年もさまざまな野菜作りに挑戦してきました。白イチゴやショウガ、そしてサトイモなどなど…。なにせ初めて作ることは、参考にするものがなく困難ではありますが、経験を次に生かして向上していくのが私のライフワークです。何事も時間がかかるもので、特に野菜、農産物は、一年の間で何回もできるものでなく、一年でたった1回を毎年積み上げて、失敗を繰り返しながら、取り組むもので、息の長いことです。すぐには良い結果は見込めないかもしれませんが、まずは始めてみることで、少しづつでも成果を感じられることが大きな喜びとなります。今回は私の「北海道でのサトイモ作り」についてお話したいと思います。

そもそもなぜサトイモ作りに挑戦するのかというと?
初めてだからこそ挑戦したい
北海道で作ったことがないので研修、勉強しようと思い、昨年から作り始めています。家庭菜園レベルでは作れますが、営農品として、販売、利益を上げる生産としては、北海道ではやはり温度が足りないため、生産に向いていないと思われ作られていません。身近にない野菜なので北海道の一般の食生活でもあまり多くは食べられていないようです。
パプアニューギニアでの体験が後押し
以前に海外青年協力隊で行った「パプアニューギニア」の食べ物の中で、唯一気に入った食材がタロイモ(サトイモの大きなもの)でした。現地ではタロイモが主食で、食べてみておいしかった唯一のものでした。これを北海道で作れたら?と始めたのがきっかけです。
パプアニューギニアでのハプニング?!私の研究好きが現地で大変なことに…。
パプアニューギニアでどんなふうに生育しているのか見てみたくて、畑に植わっていたタロイモを掘ってみたことがあります。そのことが「クジョウ(私の名前、工藤)にイモ盗まれた!」と、大騒ぎになってしまいました。現地では、例えば豚を盗まれたとしたら殺されるくらいの争いに発展することもあるといいます。その時私は法外な代金を支払ったことを思い出します。苦笑。

温暖化の影響で北海道でも作れる?
最近の温暖化の影響で、北海道でも少しは可能性があるのでは?と思い取り組んでみました。サツマイモをはじめ、今まで作られなかったものが北海道でもできるようになっています。作物の北限のラインが北上している実感があります。
経験が第一、この経験こそがいずれ役に立つ
いずれシニアで協力隊として活動を考えている私にとって、経験が何より大切なことです。また当店での家庭菜園教室の生徒さまからも質問をいただきますので、実際に作ってみてもっとよい情報をお伝えしたい思いもあります。これは研鑽するべきと考え、販売用として本格的にハウスで取り組み始めました。
実際に作ってみると…
品種は3種類植えてみました。手探りの中始めたサトイモ作りは、発芽、目出しの時点でかなりロスをしてしまいました。大量に作るとなるとやはり難しい問題がたくさん出てきました。作業性も未知で、温度管理も北海道向けの情報はない中で作るのは困難がつきものです。サトイモの種芋はコストも高く失敗は痛いのですが、何をするにも3年は必要だと思い続けていこうと思っています。経営上は全く採算が合いませんが、まずは一歩歩むこと。たとえ失敗したとしても、そこから生まれるものはなにものにも代えられないことです。

今のところ何とか成長してくれていますが、こんな問題がでました。
1、 思ったほど脇芽が出ない?
水管理なのか、肥料なのか、温度なのか、土寄せのタイミングなのか
2、 無農薬でできない?
なるべく農薬を使わない方向で考えていましたが、病気や虫が思いのほか発生しました。
新しい土地で作ったのに…。パプアニューギニアでは特に何もせずに作られていたのに…。
これからの問題
・売り先の問題
市場に打診したら、地元で作ったものは痛みが早く売りにくいとのこと。もし私が生産に成功しても、受け入れてもらえるのか?果たして売れるところまで行けるのか?不安もあります。
・収穫、保管
根菜なので、保管方法も大切です。この地域ではどのような方法が適しているのかも試行錯誤が必要です。
・食べ方の提案
地元に根付いていない野菜なので、もっと取り入れてもらえるように様々な料理を提案したいです。茎も食べられるようなので、いろいろ試しておいしい食べ方を見つける楽しみもあります。

まずは良いものを作らなければ何も始まりません。ひとつづクリアにして前進していきたいです。自ら経験しないと、質問さえもできないものです。産地に伺って知恵を知りたいと思っても、自分の問題をはっきりさせないと得られないことでしょう。悩み多き日々ですがサトイモが成長するにつけ楽しみも増してきています。
収穫は11月末を予定しています。どうなってくれるか、とても楽しみです。皆さんに喜んでいただける野菜作りを夢見て、挑戦し続けていきたいと思っています。