シクラメンを長~く楽しむ育て方
こんにちは、ハウス工藤園芸スタッフ、獅子原(ししはら)敏勝です。花の少ない季節の冬を代表する人気の鉢花「シクラメン」は、たくさんの華やかな花の色や、咲き方がある球根植物で、どれを選んだらいいか迷うほど多くの品種が出回っています。冬の室内園芸には欠かせないシクラメンについて、今回は「シクラメンの魅力」、「シクラメンを長~く春まで楽しむための選び方や育て方」、「注目の新しい品種」などについてお伝えします。

シクラメンの魅力って?
1、花色や花型の豊富さ
下向きにうつむくように咲くシクラメンの花は、ピンク、赤、白、紫などがあり、さらに色が混じりあったグラデーションや、縁取りの濃淡の色が楽しめるものなど、バリエーションが豊富です。色だけでなく咲き方もさまざまな姿があって、例えば、花びらの先がフリルのようなものや、八重咲のもの、ガクが花と違う色のコントラストがあるもの(下向きに咲くからこそ見られる)などの花型があります。

2、バランスのとれた形状
全体を見てみますと、パーフェクトな形状なんです。植物の美しさの中で3つの構成美として「点」、「線」、「面」があります。例えば「生け花」は、その要素を非対称に表現するものです。鉢花のシクラメンは、3つの要素が一株だけで揃っています。茎の先には「点」のように花が咲き、伸びる細い「線」のような茎に、根元に広い「面」のように茂る葉で、しっかりと、バランスよく育ちます。

3、葉の美しさも魅力
ハート形の広い葉には、模様が入っていて、品種によって違います。葉だけでも美しいので着目してみるとさらに魅力的です。
シクラメンを長~く楽しむ!7つのポイント
お客さまからよくお伺いするご質問は、「花が咲かなくなりました」、「黄色い葉が多くなってきました」、「花がクタッとしおれていまいます」、「夏にダメにしてしまいました」などです。育て方次第で回避できることがありますので「育て方のポイント」をお伝えします。
1、シクラメンの上手な選び方~葉の枚数が決めて
花の好みだけでなく、葉の枚数に着目してみるとよいです。シクラメンは葉の枚数だけ花が咲くので、葉が多ければたくさん咲いてくれます。
2、温度管理
他の花に比べて低めなのが特徴で、温度が高すぎると早く消耗してしまいます。花を咲かせる管理として、15~20度の環境を好み、寒さに強く重宝です。暑すぎると元気がなくなり、しおれることがあります。耐寒温度は約5度です。
3、水やり

比較的に水が好きな植物です。クタッとしおれてしまうのは水不足のこともあります。底面給水鉢(土の部分の底から給水布が伸びていて水を吸い上げる仕組みの鉢)に植わっていることが多く、鉢の底から水を吸わせます。受け皿部分の水がなくなって2日くらいたってからたっぷり水やりします。球根は過湿が苦手なのでいつも湿っているのではなく、乾いたら与えます。普通鉢の場合は、球根や葉に水がかからないように、土の部分にしっかり水やりをします。
4、肥料
肥料は液体肥料を規定の濃度の水で薄めたものを、1週間~10日に1回与えます。肥料が切れると花がつきにくく、葉の色も悪くなり、成長が鈍ります。
5、置き場所
窓辺など、日当たりのよい所が適しています。次の花のつぼみが上がるために日当たりは大切です。
6、手入れの仕方 花ガラつみ

花ガラ(花が咲き終わったもの)をこまめにとると、次のつぼみが上がってきやすいです。花が終わってもそのままにしておくと、種をつけようとして、エネルギーが種に取られて株が弱ってしまいます。ハサミを使わないで、茎の途中で切ってしまうことなく、手で茎の根元から、ねじってスパッと軸ごと引き抜くように取ります。悪くなった葉も同様に抜き取ります。
7、夏越しをさせるには?
暖かい季節はシクラメンには温度が高すぎ、元気がなくなってくることがあります。夏越しがうまくいくと、また秋から花を咲かせて楽しませてくれます。夏の暑さや強い日差しを避けた木の株元などに置くと、夏でも涼しい環境なので夏越しできます。新芽が出て大きくなったら9月末頃に一回り大きな鉢に植え替えます。球根は全部埋めず、半分くらい土の上に出るように植え付けます。
今年の新品種は?
香りシクラメン

花の香りが「バラ」のようなシクラメンが登場しました。画像は札幌の生産者さんの花です。淡いピンクの花色もとっても上品で、やさしい感じがします。
天使の羽

花が小さめで可憐です。花弁の先がクルンと植えむきにカールしています。画像はこちらも札幌の生産者さんの花です。
シクラメンの記事はいかがでしたか?大型の鉢花のシクラメンは、冬の風物詩の花です。寒い北海道では家の中での一鉢の存在感は大きく、贈り物にも喜ばれます。北海道で人気のあるものは、ボリュームのある鉢物で、色は本州で人気の白や紫より、パステルカラーのものが好まれていて、北海道ならではの傾向があります。冬の間に少しでも長く花を楽しんで、春を待ちたいものです。