top of page

初心者でもうまく育てられる野菜苗の選び方

更新日:2019年5月13日

こんにちは、ハウス工藤園芸代表工藤泰造(たいぞう)です。本格的な園芸シーズンを迎え、野菜作りが始まる季節となりました。家庭菜園で大切なことは「土」のほかにもう一つ「苗」であることです。お客さまが良い苗を選び、家庭菜園を楽しんでいただけるよう苗選びにはポイントがあることをお伝えいたします。


私ならではの野菜苗について、「良い苗選びで半分は成功したようなもの」、「いい苗の条件」、「地元の環境にあった苗」「苗を選ぶ時のポイント」のお話をしたいと思います。


良い苗選びで半分は成功したようなもの!


昔から言われている農業や稲作の用語で「苗半作」という言葉があります。作物の育ちや収穫は、苗の状態で半分は決まりますよ。という意味で苗作りがとても重要であることを表しています。畑の土の大切さもありますが、植えてからの管理がよくても、苗が悪ければそれなりのものしかできない、ということがあります。最近では苗7割、苗8割という人もいるくらい、苗の質の重要性は増しています。逆に言うと、良い苗で育てると半分は成功したようなものということです。



北海道の園芸シーズンは短い!農家が生産した確実な「苗」で収穫まで楽しみたい


苗作りは本来は種まきから、暖かくなってから適切な時期に始めるのがよいのですが、北海道では暖かい時期が短いので、苗を作っている間に秋になってしまうのでは間に合わない品種が多くあります。皆さまが苗を作る時間を省略して、早く収穫を楽しむために、まだ寒い時期からハウスで管理をして良い苗を作り上げるのが私の仕事です。暖かいハウス育ちでも、外に植えた時に丈夫に育つように、徹底的に鍛えて苗を作っています。



良い苗の条件


「苗を鍛える」といってもピンとくる人は少ないと思いますが、私がとても大切にしていることです。 「鍛えた苗」というのは、「水管理」、「温度管理」、「外気の風の代わりに刺激を与える管理」などをすることによって、丈夫で弱ることなく、植えたらあとは良くなるだけというような強い苗のことです。 野菜苗はお客さまの手元に渡ってから、外に植えて育てられます。外の環境は思いがけない寒さや、強風や、雨などのストレスにさらされます。鍛えられていない苗だとしたら、外界のストレスで、植えた後に一度弱ってしまい、そこから回復するのに相当なエネルギーを使ってしまいます。過酷な環境に負けることなく育ってくれる丈夫な苗でなくてはなりません。


水管理

水は与えてしまうのは簡単ですが、ヒョロヒョロと伸びて,か弱い苗になってしまいます。ぎりぎりまで水を控え、水をあげたくなるのを我慢して育てています。


温度管理

苗は暖かくしすぎると伸びすぎてしまいます。とはいえ寒すぎても良く育ちませんので、夜温は耐えられる限界の低い温度にし、昼間は高く設定して育てています。

刺激を与える管理

刺激のないハウスの中で、ハウスの外と同じようにして強くすることです。外では、風や雨などで、苗がしっかり丈夫に育つのですが、まだ寒い季節のハウスでは、空気の入れ替えさえできず、自然界の刺激もない状態です。できない代わりに、我々の手で苗を撫でるように触れ、伸びないように、茎がしっかりするように刺激を与えます。

上記の3つの管理をするのとしないのでは、全く違い、触れば触れるほど、固く、締まった苗になっていくのが目でも手でもわかります。



地元の環境にあった苗


例えばトマト一つをとっても、たくさんの種類があります。いろいろ試してみて私の経験から、この土地にあっていて、味も良い品種を厳選して苗を生産しています。本州とは違う北海道ならではの環境ということもあり、品種選びは重要です。例えば、温度、土質、風など様々なことに影響されるので、地元の土地に相性が良いと思われる品種を選び、毎年試しています。


苗を選ぶ時の4大ポイント


苗の茎の節と節の間隔が短く、締まった苗

伸びていないということは管理が良くされている証明で、節間が短い苗です。


ポットが大きい苗

ポットが大きいということはその分土のコストもかかるのですが、大きい方が管理もしやすく、根詰まりせずに育ちます。

根が元気な苗

根の色が白いものが元気です。のびのびと育っている根であることが、土の上の植物のからだの元気と比例します。

接ぎ木苗と自根苗の違いを知って選ぶ

苗には「接ぎ木苗」と「自根苗」の2種類があり、接ぎ木苗とは、土が原因の病気を防げる苗です。連作障害(同じ作物を何年も同じ場所で作ると、土中の微生物のバランスが崩れて病気になりやすい)を避けるために、違う種類の植物とつなぎ合わせて作る苗のことです。同じものを毎年同じ場所で作る場合に使うとよいとされています。自根苗とは、接ぎ木をすることなく、種からそのまま育った苗です。味が良く育てられ、価格も低いです。





いい苗を選んで、適した気温にあった品種を適期に植え、菜園作りを楽しんでいただけたらと思います。菜園の成功の秘訣は、良い苗を選ぶこと、あとは管理次第です。今年の天候にも期待します。雨が多かったり、台風がきたり、寒かったりで被害が出ることがあり、さすがに天候には逆らえないのですが、悪い影響がないことを祈って、自分の手で育てた野菜で楽しむ豊かな暮らしを皆さまとご一緒に体験したいです。「こんなふうに育ちました」などのお話もぜひ聞かせてください。ともに喜び、悩み、考えて、いいシーズンにできたら、が私の願いです。


閲覧数:200回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page